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June 24, 2005

サメとダイビング(バハマ、ダイブクルーズ)

 ナイトロクスのライセンス取得を兼ね、フロリダの裏庭、バハマで潜る。

 船に乗っているのは経験のあるダイバーばかりで、ダイブマスターは水の中へ同伴しない。ダイバーの側は地形や海の深さ、潮流についてのブリーフィングを受け、各自でプランを立てて、ダイブコンピュータを使用しながら自己責任で潜ることになる。

 普通は強制されるバディ制度もあってなきがごとしで、ソロ(単独)ダイブもOK。私はこういう機会を待っていた。

 以前から海の中でコンティニュアムをしてみたいと思っていたのだが、ガイドやバディ付きではこれは不可能だ。水の中で普通ではない呼吸や体の動かし方をしていたりすれば、窒素酔いか何かと勘違いされて「救出」されかねない。

 20メートルほどの深さに潜り、流れのない静かな場所を見つけて、まずは呼吸法を試みる。

 どうもうまくない。

 フーブレスと呼ばれる呼吸法をしようとすると、口に入れているレギュレータが奇妙な音を立てる。何しろ呼吸に反応してエアを供給する精密機器でもあり、第一、ひとりで潜っている時にレギュレータを壊したりすれば、それこそ本当の緊急事態だ。

 というわけで、呼吸法の方はあきらめ、そのままウェーブモーションに入る。何しろ本物の波に揺られながらのウェーブだ。呼吸法で油をまわさなくとも、体の中の波と外の波を同調させるのはたやすい。

 中性浮力さえきちんと調整しておけば限りなく無重力に近い水の中に浮いて、体を海と一体化させるのは至福そのもの。

 波に揺られながら休息中の魚の群を見つけ、紛れこませてもらう。黄色地に青縞の鮮やかなフレンチグラントたちはちらりと私を見、「無害」と決めたようで、そのままいっしょに浮かばせてくれる。

 そばの岩についているイソギンチャクも、マイクロムーヴメントのウェーブモーションだ。これこそコンティニュアムの原点...。

 こうしてソロ・ダイブを堪能し、合間にナイトロクス(酸素濃度を高めに調整した気体)をダイビングに使うための試験にパスし、おまけでついてきたのがシャーク・ダイブだった。

 このポイントは昔はブルシャーク(オオジロザメ)やタイガーシャーク(イタチザメ、辞書には「人食いザメ」とある)がよく出たそうだが、最近はどこでもよく見るリーフシャークとホワイトチップシャークがもっぱらという。

 まず参加するダイバーは(アメリカ人と南アフリカ人の女性ダイバーは参加を拒否)、先に海底まで潜って、指定された砂地の上で姿勢を低くして待つ。この時点で、そろそろ周辺にサメたちが集まり始める。

 そこへダイブマスターが魚のぶつ切りをつけたサメ寄せの道具をもって降りてくる(ダイブマスターは「スシ」と呼んでいた。アメリカ人にとっては生の魚はすべて「スシ」)。

 そして魚の血の臭いにひかれたサメたちがすごい勢いでエサをむさぼりにやってき、そのアクションを目の前で見るという、まあ、きわめてアメリカ的な趣向。

 リーフシャークなど普段から見慣れているダイバーたちも、エサに興奮したやつらが至近距離で飛び回るのを見るのは初めての結構なアドレナリン・ラッシュで、みなエアの消費量が急上昇。

 アクションが終了した後もサメたちはあたりを徘徊していて、近寄ってきた1匹とお互い見つめ合いながら(?)しばらくいっしょに泳ぐことができた。

 しかし、サメとはお互いに目と目があっても、コミュニケーションが成立したような気がしないのは私の偏見か。単に「なんだか動いている、たぶんエサではないらしいもの」としてしか、こちらを見ていてくれないようなのである。

 ところでこのポイントには「オスカー」君と愛称のついた名物魚(Jewfish、ハタ)がいて、ダイバーたちを見ると、その中から一人お気に入りを選んで後をついてまわるという。

 この時も噂のオスカー君(体調60センチくらい)が現れ、私の隣に陣取っていたドイツ人の長老ダイバーの頭の上に浮いて、一緒にサメ見物をしていた。魚の中にも時々こういうふうに、妙に愛着のわくパーソナリティをもったのがいる。

(2001年5月記)

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