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November 05, 2005

海の生物の保護、Sea Shepard(海の牧者)の活動

 何年か前に、ガラパゴスでダイビング・ボートに泊まり込んでいた時、昼休みに海を見ていると、シー・シェパードの船が通りがかった。おそらく、ガラパゴス海域の違法なサメ漁を取り締まる任務を帯びた船だったろう。

 ポール・ワトソン船長に率いられ、「海の生き物を守るためならば命も賭ける男(そして女)たち」の存在は、違法漁業や捕鯨関係者の間で嫌われている。迅速な活動、逞しい行動力、そしてそれらが、潤沢な資金によって支えられている。

 ボランティアとしての現場参加であれ、寄付金を通しての裏方参加であれ、海に対する愛情を行動を通して表現することのできる人々を見るのは、うれしいものだ。

 シー・シェパード(海の牧者)は、クジラやイルカ、カメ、アザラシ他のすべての海洋生物について、保護海域での違法な漁や殺戮の捜査、記録、訴追。それに公的権限を与えられている海域では、国際法やそれぞれの国の海洋生物保護法の順守強制などを行う。まさに、体を張って海の生き物の保護に取り組んでいる。

 1977年に創設されたNGOの非営利団体で、運営、船の管理、必要経費、そして実際の海の現場に赴いての活動も、すべて寄付とボランティアでまかなっている。宣伝活動にお金をかけることもないので、寄付金はきわめて効率よく実際の保護活動に回される。

 毎年、日本は捕鯨船を南極に送り出す。保護海域であるはずの南極の海で、絶滅に瀕しているミンククジラやイワシクジラなどのクジラを400頭、殺すためだ。これは明らかに国際捕鯨条約や南極の自然保護条約など、複数の国際法に違反するのだが、「法律の強制手段と資金の欠如」を理由に、それを止めようとする国も組織もなく、違法な捕鯨はこれまで放置されてきた。

 これに対してシーシェパードは、ワトソン船長率いる船と45人のボランティア乗員を南極に送り、保護海域での違法な捕鯨を阻止する準備に入っているが、そのための追加の資金(船の燃料費)や、船に積み込むための資材などの援助を必要としている。

 シーシェパードのウェブサイトには、船のメンテナンスに使う工具や機械油、浄水器のパーツなど、細々とした「Wish List(欲しいものリスト)」が掲載されているが、船に積み込む食料の項に、野菜や豆のスープの缶詰、クラッカーやクッキーなどと並んで「トーフ(豆腐)」とあるのが泣ける。

 日本の捕鯨擁護論者はしばしば「アメリカ人は牛を食うくせに我々がクジラを食う権利を奪うのか」と騒ぐ。しかしアメリカで最も行動力に富む(過激な)クジラや動物保護の活動家はベジタリアンなのだ。

一人一人にできること

・捕鯨産業、フカヒレ産業、アザラシの毛皮産業に一切お金を出さない、回さない

・子供たちに、クジラやイルカは高い知性と感情のある動物であることを教える

・魚やサメを含む海の生物は賢明に保護していかななければどんどん数が減り、回復までに何十年もかかるか絶滅してしまうことを知り、それに応じた行動をとる。

 見栄張りのグルメでフカヒレを食べて喜んでいるなど、もっとも愚かしい行為の一つ。3枚の小さなヒレをとるために、サメ1頭が殺される。ナマコでさえも海底の浄化機能を司っており、ナマコが乱獲された海はただちに汚れ始める。

・シーシェパード・ジャパン http://www.seashepherd.org/japan/

「かわいいと思うだけでは十分ではない。かわいそうと思うだけでも十分ではない。愛を行動に移そう!」



(2010年2月13日追記)

 私は動物解放戦線(ALF)に寄付を送っていたような人だから、利潤追求のために行われる動物への虐待行為に対する実力行使に抵抗はない。

 シーシェパードの隊員が自分の体をはって海の動物を保護する姿勢も、すばらしいと思う。

 しかし、実力行使と無差別的暴力の間には違いがあるし、実力行使と無思慮な行為の間にも一線がある。

 シーシェパードを長年支持してきたからこそ、「海の牧者」の名前に恥じないよう、理念に忠実に、そして賢明に効率よく活動して欲しいと思う。

(2010年7月13日追記)

 メキシコ湾の原油流出現場とか明らかに緊急の対処が必要と思われることに反応がなく、地中海で「網に捕らわれていたマグロを解放」とかいったことに貴重なリソースを割く現時点でのシーシェパードのあり方に疑問があり、長年の支援者だったが、他の現実的行動を行っている団体に支援先を移した。

 私はマグロなんて食べなくてもいいし、スシや刺し身が明日突然地上から消しても別に困らないが、しかしメキシコ湾での深刻な状況を無視して、このリソースの向け方はおかしいと思う。

 海の動物保護という本来の理想と理念の復活を祈ります。

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