屋久島
5月の前半、屋久島で小さな家を借りて半月ほど過ごした。
これほど完璧な自然は稀だ。
南国のあたたかな太陽。絶えることなく海から吹きこむ強い風。つねに島のどこかを巡っている豊かな雨と、それによって育まれる大小たくさんの透明で静謐な川や滝。そして島全体がどっしりとした花崗岩の大地。
四大元素すべてが、文句のつけようのない安定したバランスを保つ。なんとまあパワフルな、としかいいようがない。
その結果だろう、自然のエネルギーは澄みわたり、同時に密度が高い。
ハワイのあまやかな豊かさとも違う、沖縄南部の濃密さとも違う、とにかくシンプルに生命エネルギーが濃い。
エネルギーは濃いのだが、癖がない。エネルギー自体の個性を受けとり手に刻むのではなく、根源的な形で受けとり手の一部になって、それを内から育み支えてくれる感じだ。
それは島の植物の豊富さ、果物の香りや蜂蜜の奥のある甘さ、わき水の味の濃さにも現れている。
ウミガメの産卵地として知られる人気のない白い砂浜に立つと、青い空の下に広がる水晶のように透明な海。振り向けば、険しく気高い、霧におおわれた深緑の山々。
南の島なのにはっきりとした四季があり、地域によっては冬に雪も降る。海辺の亜熱帯から山頂の亜寒帯まで、屋久島には日本の自然が丸ごと凝縮されている。
屋久島といえば誰でも、苔むした杉の巨木を思い浮かべるが、屋久杉の生態にもこの島の個性(本質、エセンティア)が象徴されている。
屋久杉は際立って寿命が長く、島で一番古い縄文杉は樹齢7500年とも言われる。何年か前にこの杉から折れた枝の年輪を数えたところ、枝だけで1000年を超えていることが確かめられた。これだけでも驚くべき生命力の表現だ。
杉の中には、江戸時代に始まった伐採で切り倒されたものもある。その切り株から新しい芽が出て、再び大樹に育っている。また落雷などで倒れた木からも、再び若い芽が吹いて育っていく。
「死んだ」古い杉から新しい杉が芽吹き、再び樹齢何百歳もの大樹に育つ姿に、仮の「死」を経て再生していく生命の力強さ、生まれ変わりの象徴性が感じられる。
そんなふうに、個体をリセットし、新しい生命力を吹き込む力が、この島のシグニチャー(特徴的なしるし)だと思う。
花崗岩大地の有無を言わさぬグラウンディング力と、生命を再生(Regenerate)させる緑のエネルギーは、体を休め生命力を賦活するにも、またヒーリングにもとても適した土地だと思う。
「03. 旅行と生活(旅行中とった写真も)」カテゴリの記事
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