スクールの敷き居
School of Healing Arts & Sciencesの活動について折々に質問をもらいますが、今回はオープンスクールについて、少し書いておこうと思います。
スクールの敷き居?
「School of Healing Arts & Sciencesの講座は敷き居が高い」と思われているという話を、時々聞きます。つまり「難しそう...」だということらしい。
確かに、ヒーリングとアルケミーに関わる広い分野で知識を身につけながら、理解力や判断力を育て、やがて自分の足で立てるようになってもらうことを最終的に目指しているので、そういう姿勢のプログラムを「敷き居が高い」というなら、そうかもしれません。
「購読書籍がやたら多くて、難しい本が多い」というのも、一部の人に敬遠される原因になっているようです(笑)。でも、たくさんの読みごたえのある本をリストしているのは、上に挙げたのと同じ理由です。
単に細切れの知識を身につけるのではなく、しっかりした価値観、理解力と判断力を自分の中に育て、あふれる情報の中から、必要なことを自分自身で汲み上げ、より分けられるようになって欲しい。
「エネルギー」や「精神性」について理解したことを、日々の生活に具体的に生かし、状況に応じて臨機応変に使いこなせるようになって欲しい。
そして自分の能力を、自分と自分のまわりの人たちや生命を育み支えるために、役立てることができるようになって欲しい。
これがスクールのプログラムの背景にある願いです。
☆
譬え(たとえ)
精神性(スピリチュアリティ)やヒーリングについての知識やノウハウを単発のセミナーなどで切り売りするのは、のどが渇いている人に、泉の水を小さな器(うつわ)でちょっと汲んで与えるのと同じです。
お金さえ払えば、受けとる側は何もしなくても水をもらえる。小さな器の水はその場で簡単に飲み干せて、それなりの満足感も覚えます。
でも「何か」を求めて道を歩いている人は、時間が経てば、またのどの渇きを覚えるのです。
ある人は、同じ所に戻って水をもらうことを繰り返します。またあちこちの有名どころで水をもらって回る人もいます。わざわざ自分の手を煩わさなくてもコップで水をもらえるのは、とても便利なように思えるし、とりあえずの渇きは癒せる。
「誰でも簡単に!」「あなたも今すぐ、○○○!」 手早く人やお金を集めるには、こう宣伝するに限ります。
でもこういった文句で売られるのは、出来合いの小さなコップに入った水です。そうやってちょっとの水をもらっては飲むことに慣れてしまうと、やがて水源そのものの存在すら忘れてしまうのです。(「ミネラルウォーター」=「ペットボトルで売られている水」と思い始めるようなもの。)
それに対して私たちは、こう呼びかけます。
「ちょっと面倒かもしれないけれど、水を汲むための自分の器を作ろう。そしていっしょに水のほとりに行って、湧き出る水を汲んでみよう」。必要な時に、自分の手で、大地から湧き出たばかりの新しい水を汲み、自分やまわりの人たちをうるおすことができるように。
☆
水瓶座時代のヴィジョン
人の魂に関わる分野で「水の量り売り」をするのは、宗教のやり方でした。聖典にある「神」の言葉を聖職者が解釈し、「神が『隣人に親切にせよ』と 言われた。だからあなたも良い行いをしなさい」等と、ものの考え方や日々の生活の仕方を指示しました。それは人を小さな子供のように扱うやり方です。
インスタントな知識を切り売りするセミナーも、ある意味、人々を幼児化しています。
私自身、聖職者(牧師)ですが、人々を子供のように扱う旧い宗教のようなやり方は、もう意義をなくしつつあると思っています。
今この時代に必要なのは、人々の中に知識と理解を広げ、成熟した判断力を育てて、一人一人が自分自身で神聖な存在の声を聞き、生命の泉から自分の器で水を汲み、自らの魂を潤すことができるようになることです。
聖職者は、神と一般の人々の間に立つ特権的な仲立ちであろうとすることを止めて、人が自らの内に神(神聖さ)を見、それを宇宙・自然の中に息づく神と結びつけるのを学ぶことを手助けするべきなのです。
それが可能になるだけの知性と情緒の下地が、この時代の人類の中には育っている。ヒーラーとして活動を始めたばかりの頃、私はただそう信じていま した。若気の至り(笑)の理想主義と言えたかもしれません。
けれどヒーラー兼教師として、クライアントや学生たちとともに現場で過ごしてきた15年間の経験を経て、それは経験に裏打ちされた確信になっています。
そしてその確信があるからこそ、私自身が長い時間をかけて学んできた偉大な智恵の伝統(Great Work、Wisdom Traditions)につながる精神性(本来のスピリチュアリズム)、ヒーリングとアルケミーの道すじを、ちょっと古くさいくらいに古典的な(=手間のかかる)やり方で教えることを選んできました。
それは何より学び手の自主性と、人生の巡りのリズムを重視するものです。
すべての人の中には智恵の種子が眠っている。でも、その種子はまわりの土を耕し、水を与え、光や熱を与えて芽吹かせ、四季の巡りを経ながら育てていかなければならないものです。(お湯をかけて3分待っても、花は咲きません。)
こういったことを背景にしているプログラムなので、スクールのクラスへの最初の一歩は、確かに敷き居が高いと感じられるかもしれません。
けれども一度足を踏み入れてみて、生きることについて真摯に学び、他の人々や生命のために役立ちたいと望む人たちで形成されるエネルギーの場の中で、どんなふうに自分の精神が目覚め、また魂が息づき、充実して時間を過ごすことができるかを経験してもらえば、スクールの枠組みがなぜこうなっているのかわかってもらえるはずです。
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実際のクラス
といっても実際のクラスは真面目な講義だけではありません。
実のところ、ほとんどいつも笑いが絶えません。本来、智恵とユーモアとを切り離すことはできないからです。人の魂が癒え、また育っていくには、あたたかで人間味のあるユーモアや笑いの存在は大切です。
また参加者は、クラスの内容や疑問に感じたことについて、どんどん質問するよう勧められます。質問をすることは学び手の思考プロセスを刺激し、また教える側にとっても参加者の理解度を測り、そのニーズに応じてクラスの内容やレベルを調整していく手がかりになります。
クラスは、同じテーマであっても1回として同じものはありません。それはつねに参加者全体の興味、ニーズ、理解度、エネルギーの総和に呼応して織り上げられていきます。書かれたものを読み上げながら教える平板なセミナーではなく、参加者の存在自体がその一部である「生きた」クラスです。
参加者のレベルに応じて、目に見える世界と見えない世界の「壁」を取り払うための、エネルギーフィールドを扱うさまざまな体験実習も組み込まれています。
しばらく前のオープンスクールでやった、カラー樹脂板を使ってチャクラの色を感じ分ける実習をした人は、その時の興奮をまだ覚えていると思います。「初めてオーラフィールドを見ることができたかも」「オーラの色を見るって、こういうことだったんだ…!」。
一人では難しくても、よくまとめられたグループのエネルギー場を使って練習すれば、ほとんどの人が生体エネルギーやオーラフィールドを体感できます。
まったくの初心者から長く学んできた人まで、肉体ベースで感覚を広げながらオーラフィールドの体感にまでもっていくのを教えることは、昔アメリカの大手ヒーリングスクール(BBSH)で働いていた頃の経験も含め、私が過去14年腕を磨いてきた分野。個人的にもっとも楽しいと思っている仕事の一つでもあります。
☆
川の流れに足をつっこんでみる…
古典的な精神性と智恵の伝統に触れ、自分が生きてきた人生の背後にある意味を見ることができた時のうれしさ。自分という個人と自分の生きる目的が、宇宙・自然とつながっているとわかった時のよろこび。エネルギーの世界と知り合いになり、体感を通して自己の感覚が肉体を超えて広がる驚き。
こういっ たオープンスクールの経験からスタートして、何割かの人が、長期の専門的な学びに入っていきます。
オープンスクールは、ハンズオン・ヒーリングやフラワーエッセンス療法の専門トレーニングに入るための準備課程の役割も担っていますが、同時にそれ自体が一つの有機的な教育プログラムでもあります。
過去のエソテリック・スクール(「秘教派」)、ミステリー・スクール(「神秘派」)、アルケミー(魂の錬金術)につらなる智恵と精神性の教えが、古典的な方法論を保ちつつ、同時に水瓶座の理念に沿って、よりシンプル、オープンで効率のよい形で教えられています。
もちろん、大切な知識、技術、伝統を受け継ぎ受け渡していくには、新しい人たちが学びの過程に加わってくれ、智恵の伝統という川の流れが保たれていくことが必要です。ここに書かれているような学びの場に興味のある人が、最初の「敷き居の高さ」(笑)を越えて、とりあえず一度、オープンスクールを経験してみようと思われるのを待っています。
『エネルギーの海 スピリット通信』2008年8月4日の記事に加筆、時系列を更新(2010年1月15日)
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