乗馬トレッキング イタリア、シチリア(1)
10月のドイツでの神学研修の後、その足でシチリアに向かった。
マドニエ、ネブロディ、アルカンターラの3つの山系を越えて、エトナ山の中腹まで6日間220キロの乗馬トレッキング。
1日7〜8時間、時に山道を何キロもぶっ続けで駆け上がり、時に霧の中を雨に打たれながら進む道は、途中でリタイア者も出る体力勝負だったが、最高に楽しかった。
今、作業しておかないと多分忙しさに紛れてそのままになってしまうので(これまであまりに大量の写真がそういう憂き目にあっているので...)、仕事の合間を見てアップロードしておく。
映画『Cinema Paradiso』のシーンにも使われた海沿いの町は、夢の中の風景みたいに美しい。
この日はチェファルーの町を見下ろす山の上の古城を転用した宿に一泊。
翌朝、歩いて10分ほどの所にある厩舎で、相棒になる馬を選ぶ。
黒いのはトレッキング・オーガナイザー(チェファルーで病院勤めの放射線医)所有の、それはゴージャスなフリギア馬。気性はちょっと荒い。
私とドイツ人の女性は2頭の栗毛を見せられ「どっちに乗るか決めろ」と言われる。
顔をのぞくと1頭の目に、ぴかっと好奇心に満ちた知性の輝きが! 顔立ちからしてもアラビアンが入っているぽい。考えながら迷っているドイツ人の女性を差し置いて、ささっとこの馬を指名(笑)。
アラビアンは好きな馬だ。時に人間を出し抜く頭のよさ、走り出したら止まらない熱い性格、そして相性のいい(馬の合う)アラビアンと経験する、手綱をさばく必要さえない一体感。
スタッフに訊ねると、やはりシロッコ君はアラビアンとシチリア馬のミックスだった。
その日の行程を走りきって宿にたどり着かないと、夕食にもベッドにもありつけない。
この日は1時間の休憩を挟んで延べ7時間半、山道を上り下りしてトゥーサの農場に着いた。
馬たちは放牧されて草を食み、我々は丘の上のコテージに。
夕食は農場の食堂で、地元の有名人チーチョ親方が自分で育てた有機野菜や、野原から摘んできたハーブや野草、自作のチーズなどを使って作ったシチリア式のフルコース(14コースくらい)。
私は「トゥーサにたどり着いた初めてのアジア人」ということで(しかも「牛や豚は食べない」とか言うし)、親方はいろいろ気を使ってくれた。
親方「朝は普段、どんなものを食べてるのかね?」
私「そんなに気にしなくて、普通の朝食で大丈夫ですよ」(注 イタリアの普通の朝食=エスプレッソにタルトとかクッキー)
親方「どんなものを食べているのか知りたいんだ」
私「うーん 普段だったらご飯」
親方「それは冷たくして食べるのか、温かくして食べるのか?」
私「...温かいの」
親方「どんなものを付け合わせるのかね?」
ガイド「きっとオリーヴオイルをかけるんだろう」(ちょっと待て)
と言うわけで、翌朝、本当にあったかいご飯がでてきた。付け合わせは「卵」と言っておいたら、ゆで卵が(笑)。
イタリア人は基本、陽気で人懐こいが、シチリアは輪をかけて人が温かい。
前菜からデザートまで3時間半かかった親方のフルコース・ディナーを食べるためだけにでも、またシチリアに出かけたいと思う。
トゥーサは紀元前2世紀には成立していた古い町で、この先トレッキングはトゥーサから同じく古代の町ミストレッタと、「普通のシチリア人もめったに足を踏み入れない」とガイドの言うDeep Siciliyへと進んでいく。
トゥーサからミストレッタに向かう途中で休憩し、馬を休ませる。
ランチはガイドが作ってくれる野戦料理的サンドイッチにオリーブ、チーズ、果物。チーズは地元産のカーチョカヴァロ。シチリアの農産物は生命力にあふれていて、本当においしい。
シチリアで自然農法や有機農法が盛んだというのは実は知らなかったが、おいしいものは地元で消費されてしまい、輸出には回らないため知られないということらしい。
ミストレッタに向かい山の上を移動しつつ、馬の背から。
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