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August 08, 2015

人生の折り返し地点

 リトリートで学生たちと話やディスカッションをしながらいろいろ考えたことがあるので、幾つかメモしておこうと思う。

 ディスカッションで繰り返し戻っていったテーマの一つに「折り返し地点」というのがあった。自分の人生の折り返し点という意味だ。

 もちろん人によってその時期は大幅に違う。人生の比較的早期にそこに達する人もあれば、人生を終わる間際に気づくこともある。だが、意識的な形で生きようとするすべての人に、「自分はここまで人生を歩いてきた。残りの人生をどう生きるべきなのか」と、真剣に考え始める時期が来る。

 私は、折り返しを迎える理想の時期は、自分の人生の実時間のやはり折り返し(半ば)当たりだろうと思っている。で、日本の女性ならとりあえず平均寿命の90歳までは生きるとして、40から45歳前後が、自分のこれまでの生き方とこれからの生き方について、意識的に、真剣に考えてみるのに適した時期ということになる。

 寿命の短い時代には、この時期が訪れるのも早かった。人生50年なら、折り返し地点は25歳だ。実際、そういった時代に生きていた人々は、感情的にも今とは比べようもなく早く成熟し、人生についての覚悟を決めていた。

 十代のはじめに元服した若者たちは、その日から自分は(戦役なども含め)大人として、責任をもって生きなければならないということを受け入れていた。

 リンカーンは「人は40歳になったら自分の顔に責任を持たねばならない」と言った。それは、40になる頃には、その人の生き様が顔に出るという意味だ。

 遺伝的に整った顔立ちを与えられていても、荒んだ生き方をすれば老化も早く、それ以上に品性の有無が顔立ちに出る。もらった顔の骨格が完璧なものでなくとも、自分に忠実に正直に、充実して生きている人の顔立ちは、生気にあふれて美しい。

 親にもらった遺伝的な顔立ちを超えて、自分らしさ、自分の魂の形が顔や普段の表情にも表れるような生き方をしてきたか。それとも自分の親と同じような表情を作り、同じような仕草をし、同じような言葉を使ってきたか。

 ロザリン・ブリエール師は、「母親と同じ生き方をすると、中年を過ぎて腰の形まで同じになる」と言った。母親と同じ生き方をしてきた女性は、母親と同じ体形になる。遺伝と条件付けが、魂に勝ってしまうのだ。放っておけば、同じような老い方をするだろう。

 遺伝形質を乗り超え、家族の条件付けを乗り超えることが、魂にとってのチャレンジであり、魂の進化の表現だ。

 40代というのはまた、個人的な生き方から社会の中での生き方に役割の中心がシフトしていく(べき)時期でもある。

 子供のいない女性なら、自分の生き方についてすでに幾つかの選択がなされ、ある程度先の道筋が視野に入っているだろう。子供のある女性なら、子育てが一段落して、人生をまた自分のために焦点させ始めることが可能になる時期だ。

 先にも書いたが、それぞれの魂にとって「折り返し」のタイミングは異なる。だが、普段から自分の魂と向き合う生活をしている時、人はそのタイミングを感じることができる。

 仮にそのタイミングの実感がなかったとしても、平均的なタイミングに当たる40半ば当たりで人生をふり返り、自分の歩む道にコミットし直し、この先さらによりよい生き方、充実した生き方をするにはどうしたらよいかを考えてみるのは賢明なことだ。

 自分はこれまでの生き方に正直に満足しているか。どれだけのことを成し遂げてきたか。これから先、残りの時間を使って、どんなことを実現し、成し遂げたいか。そのために必要なのはどんな変化や準備か。

 この人生の残りの時間で、どうしてもやっておきたいことは何か(それをなさずに向こう側に帰ったとしたら、とことん後悔するのはどんなことか)。 現実的に、この人生の残りの時間で可能でないことは何か。次の人生に預けるために、この人生ではいったん手放し、次の人生のための足場を作っておくべきことは何か。

 チャクラの機能で言えば40代は、第1チャクラから第3チャクラまでの物質世界での機能と、第4チャクラの人間関係能力という土台作りを一通り終えて、「社会に対して自分は何を与え、貢献したいのか」という第5チャクラの社会的役割を担い始める時期。

 そしてさらに、「この人生で終わりではない、人は生き続ける」という第6チャクラの「魂の視点」を視野に含め、それを実際に人生の中に統合し始めていく時期である。

 40代の折り返し地点から先は、20代、30代には抽象的に考えていたこういった概念が、実感をもって捕らえられ、生きられるようになる時期なのだ。

(『ヒーラー&アルケミスト』2009年5月配信号)

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