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January 11, 2020

英語講座『援助する者の倫理』

『The Ethics of Caring』
Kylea Taylor
(Hanford Mead) 

 

 心理療法家、ヒーラー、聖職者、ボディワーカー、カウンセラーなど、深層心理や変成意識状態、精神的道程などの領域を含めてクライアントに関わる仕事をする人のために書かれた本。関係性と仕事の倫理について、精神的かつ実用的な形で書かれており、援助専門家の必読書といっていい。

 

Most therapists and other caregivers...(omitted)... authentically care for their clients. Many caregivers on occasion, however, feel burned out. We feel we have too many clients, too much stress in our own lives, and too little recreation. Each contributes to burnout. If our lives revolve primarily around our therapeutic or ministerial work, we disproportionately come into contact with the pain of the troubling times and difficult emotions of life. We are particularly vulnerable when we pay too little attention to our own psychospiritual journeys, when we do not acknowledge ourselves as each having an "inner child" of our own, when we do not put our own spiritual practice first, and when we do not schedule time for our own growth and care.... (omitted)When therapists' own care of themselves is in deficit, they have no care available for others either. Caregiver burnout diminishes authentic caring and makes therapists vulnerable to unethical behavior.... (omitted)Prevention of ethical misconduct seems to involve attention to self-care. Pacing our workload, balancing our lives with recreation, self-growth, professional continuing education, and personal spiritual practice can go a long way toward allowing us to look forward to time with our clients.
(p. 157-159, "Caregiver burnout")

 

 ほとんどの治療専門家や他の援助専門家は、自分のクライアントのことを本当に気遣っている。しかし、多くの援助専門家は時に、燃え尽きたように感じる。あまりにクライアントの数が多く、あまりに自分の生活にストレスがありすぎ、とれる休みがあまりに少なすぎると感じる。

 もし我々が人生をもっぱら治療専門家か聖職者としての仕事だけに費やすなら、不釣り合いに多くの、困難にある人々の痛みとつらい感情に接して、自分の人生を過ごすことになる。

 我々がとくに無防備になるのは、自分自身の心理的・精神的旅路に向ける注意が少なすぎる時。自分の中にも「内面の子供」がいることを自分に認めない時。自分の精神的プラクティスを優先しない時。そして自分自身の成長とケアに定期的に時間をとらない時だ。

 治療専門家自身のセルフケアが足りない時には、他者にケアを与えることもできない。援助専門家が燃え尽きて感じる時には、心からのケアを与えることが難しくなり、プラクティショナーは非倫理的な行動に陥りやすくなる。

 仕事における非倫理的な行いを防ぐには、セルフケアに注意を向けることが必要とされる。自分の仕事量をペース配分し、自分の生活を、休養、自己成長、専門的な継続教育、個人の精神的プラクティスで調和させること。そういったプラクティショナー自身のセルフケアは、クライアントとの時間を心待ちにすることができるようになるために、大きな効果がある。

 

辞書からは得られない表現と単語の解説

therapist
辞書の定義は「治療専門家、(とくに薬や手術に頼らず障害者の社会復帰を助ける)療法士」。アメリカで普通に「therapist」と言った場合には公的資格のあるpsychotherapist(心理療法家、心理療法士)を指す。
日本では「セラピスト」「カウンセラー」にはそういう含みはなく、とくに専門教育や資格がなくても名乗れる肩書きになっているので、一応注意が必要。

caregiver  
直訳は「面倒を見る人、擁護者、介護者」。ここではhelping professionと同義で、「援助専門家」と訳した。心理療法士や聖職者など、単なる専門知識と技術だけでなく、他者への深い関心と献身が必要とされる仕事に携わる人という意味合い。

care, caring  
直訳は「世話、面倒見」だが、ここでは療法士や援助専門家の仕事を指す。

vulnerable  
ここでは普通の「○○○に対して弱い、無防備である」という意味で使われている。

practice  
直訳は「習慣、練習、実習」だが、精神的な文脈で使われる場合には「毎日、継続的に行われる(精神的)修養、修練、習慣」という意味。「My spiritual practice」と言えば「自分が毎日、継続的・習慣的に行っている精神的修練」(例えばメディテーション、ヨガ、お祈り、いろいろな宗教系の修行など)。「tantric practice」と言えば「タントラ系の修行」。

practiceには「仕事」という意味もあり、「medical practice」は医師としての仕事、時に医師の仕事場を指す。「ヒーラーとして仕事をしている」は「I have a healing practice」という。練習・修行・仕事という意味が一つの単語に込められているのはなかなか感慨深い。

practitioner(プラクティショナー)はしたがって、本来、「修練を積みつつ仕事に携わる治療家」である。いずれにしろ「習慣」と訳してしまうとこのような本来の意味が抜け落ちてしまうので、カタカナ書きで残した。

 

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